ASTRAL QUEST ■創世記〜女神達の決断〜 三女神、世界を分かつはじまりの時、三姉妹の女神が存在した。しかし、それぞれの自我が膨張したことにより、三柱の均衡は崩壊していく。秩序を求める長女ルティア、混沌を追求した次女ノティアは対立しそれぞれが理想とする世界を別々に構築した。世界の創造にはとてもたくさんの”世界の雫”を必要とするため最後まで二人の間を取り持った三女アスティアには自身の世界を想像する”世界の雫”は残されていなかった。姉達の理想を理解しつつも、排他的な思想に共感できなかった彼女は自らの胎内に残された”世界の残滓”を抱擁し「不安定な自由」を実現する世界を構築した。 幻想界は、極めて不安定な新生世界だったその中で輝いていたのは、妹アスティアの“魂の雫”そのもの。姉たちはそれを欲し、各自の世界から幻想界への通路”回廊”を構築した。三女アスティアは、「自由とは秩序ある混沌の中に在る」という理念を持っていたため、抵抗する事なく姉達の因子(アストラファクター)流入を受け入れた。これはのちに”光輝の回廊””深淵の回廊”と呼ばれる事となる。”秩序””混沌””自由”と数多の因子の呼びかけて芽吹き、”世界の雫”の物語がここに産声を上げた ■世界の雫と幻想因子(アストラファクター) 幻想界に、外界(光輝界・深淵界)から流れ込むアストラファクターは、幻想界に還流する世界の雫の願いに呼応し、影響を与えていく。”種の繁栄”に留まらず”秩序の因子”は規律、戒律を求め、奇跡の力を与えた”混沌の因子”は破壊と欲望を助長し、”瘴気”という環境を生み出した。その影響は絶大で、多くの生態系に多大なる影響を与えていった。 ”混沌の因子”は”異質な環境を作り生態系に影響を与えた。弱肉強食に満ちた殺戮の世界は、世界の雫の循環を正常に保つことができず、”瘴気”という弱者は生存できない環境を作っていった。その影響を色濃く受けた妖魔族、更に獣に近い魔獣そして”知恵ある者が生まれた。”秩序の因子”は光輝の回廊を通じて”奇跡の力”の行使を可能にした。彼らはその力を使い、”信仰”という秩序を形作っていった。 アスティアの創造した幻想界には、多様性にあふれた種も多く誕生していた。”幻想の森”に聳える”世界樹”を中心として”エルフ族”が食料が豊富な大陸南部には”獣人族”が生まれ育ち大陸中央には”奇跡の民”と同じ背格好の”人間族”も多様な文化を築いていた。しかし、アスティアの因子は確固たる縛りがなく、自立を促す因子であったため、外界の因子”秩序因子””混沌因子”の繁栄には遠く及ばなかった。 信仰を礎として繁栄した”奇跡の民”達は、階級制度という秩序に支えられ神託の巫女の指導のもと発展し、数百年の時を経て”ルティア王国”という女神ルティアの教えを正とし、秩序を正義とする国を樹立するに至った。一方、”魔獣の森”と呼ばれる”瘴気”に満ちた森林では、”知恵ある者”の中に突然変異で生まれた一際強い”混沌因子”を持つ強き肉体と他者を従わせるカリスマを持った若者のもと、弱肉強食の理はそのままに、奪い合う集団から、従属させる集団へと変貌を遂げていった。この存在が後に”魔大帝”と呼ばれ、畏怖される存在となっていく。 膨れ上がった混沌の申し子はついには魔獣の森を越え多種族への侵略を開始した。”世界樹”の庇護にあるエルフ族の里が真っ先に狙われたが、エルフ族に抗うほどの力はなく、ただ逃げ惑い蹂躙されていった。時期を同じくして、大陸南部では階級社会の歪みが表面化し最下層民の不満緩和のため、獣人族を奴隷として働かせるため王国をあげての侵攻が行われた。秩序ある世界のためという大義は盲目的に人々を従わせ、姿形が違うというだけで、虐げる文化が確立していった。 次第に勢力を増した二つの勢力はレンダシア連邦の争いを皮切りに全面戦争へと発展していく強靭な肉体を持つ”瘴気”の申し子、魔獣達に対し負傷すら恐れることのない強い信仰心と”奇跡”による強化で対抗する”ルティア王国”拮抗する争いは周囲を巻き込み大地を広野へと変えていった。永遠に拮抗するかにも見えた戦いは、セリュアーニ32世の決断によって大きく傾いた。 多くの”奇跡の巫女”を代償に”光輝の回廊”を大きく開くことで可能となる天使族の”完全顕現”は戦況を一変させるのに十分な戦力だった。劣勢となった”魔大帝”軍は凄まじい数の犠牲を出した。”混沌因子の完全覚醒”が起きたのは夥しい数の魔獣の残骸の上に立ち込める”瘴気”が一際濃い戦場だった。”魔大帝”と呼ばれるリーダー